第23回中小商工業全国交流研究集会が9月5日~14日、オンラインで開催されました。この研究集会の課題別交流会「地域金融・融資制度の役割を考える」(9月6日)に静岡大学の鳥畑与一名誉教授と金融労連の中島康隆委員長が助言者として、宮中祐志中央執行委員が参加者として参加し、中小業者の報告を受けて質疑に応じました。
論文とレポート
講演 持続可能な地域・日本・世界を作るために 岡田知弘 (2025年8月31日up)
協同組合DDKは恒例の新春経済セミナー(2025年2月4日)で、岡田知弘氏から「持続可能な地域、日本、世界を作るためにー中小企業の果たす役割-」をテーマに講演を受けました。岡田氏(京都大学名誉教授・京都橘大学学長)は、人間本来の経済活動は人間が生産・消費を行い生活する地域社会を基本的な出発点として、市区町村、都道府県、国、世界へと広がる重層的な枠組みの中で捉えることを提起。半径500メートルを基本的な経済活動範囲とする視点は、グローバル化の中で人々の人間としての絆が希薄となり、隣人が連帯できる仲間と認識できなくなってしまったかに見える現在の社会・経済生活において、社会を人間らしい社会に変革していく出発点を明らかにしてくれます。
経済のグローバル化の進行は巨大企業の活動をグローバルに展開するとともに、新自由主義思想による競争原理が人々を分断し、本来連帯・団結するべき勤労市民・労働者をバラバラにし、ごく少数の勝ち組・エリート・富裕層と底辺層の格差を拡大。岡田氏の地域内経済循環論は、単に地域経済再生の理論的基礎を示すにとどまらず、グローバル化と新自由主義的分断・孤立化に対抗する人々の絆・連携を構築していく思想的方向性を示しています。
昨年来の、東京都知事選挙、総選挙、兵庫県知事選挙、都議会議員選挙、参議院選挙でSNSによるフェイク情報拡散、選挙演説等での公然としたデマ宣伝の横行が予想を超えた影響力をもって情勢を動かしました。SNS、インターネットによる匿名で極めて無責任な誹謗中傷が大量に拡散反復し、自殺者まで出ても終わることなく続けられています。こうした事態にどう対抗していくか。デマ宣伝や匿名SNSに対する法的対抗、規制も提起されると同時に、経済活動の出発点は半径500メートルの範囲であるという指摘に象徴される、人間的な経済活動のあり方の提起が、新たな視点を与えてくれます。(金融・労働研究ネットワーク 田中均)
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トランプ大統領第一期政権の記事リンク(2025年4月13日up)
今年(2025年1月)にスタートしたアメリカのトランプ政権は、民主主義的権利破壊、人種差別、DEI(ダイバーシティ=人々の多様性、エクイティ=公正、インクルージョン=包括性)の否定、人類の存続が問われる二酸化炭素排出規制など世界中の人々がこれまで様々に追求し目標を投げ捨てる政策をあいつで打ち出し、各国に関税戦争を仕掛けて世界中を振り回しています。アメリカ国内にトランプ政権に反対して闘いに立ち上がる人々が存在しいる事実に励まされます。そして、ともにたたかうことが求められます。同時に、この異常な人物が、民主主義のお手本のように振るまい、他国の人権抑圧を率先して批判してきたアメリカで、選挙で選ばれたことに多くの人々が注目しています。ドイツでナチスドイツが選挙を通じて政権につき独裁体制を確立しヒトラーを絶対的な権力者にまつりあげたプロセスを改めて想起させらます。当金融・労働研究ネットワークでは第一期トランプ政権成立後、いくつかのな視点からトランプ政権に対するレポートをアップしてきました。第二期トランプ政権に対してもより広範な視点からレポートをアップしていく方針です。皆さまのご投稿をも期待しています。
以下に当ホームページでトランプ第一期政権後にアップした記事のリンクを貼り付けます。ご参照ください。
「トランプ次期米大統領」後初の「ファイト・フォー・$15」(2016年12月15日up)
アメリカ大統領選挙 なぜトランプ氏に投票したのか (2017年1月6日up)
女性はトランプ大統領を許さない― ウーマンズマーチは何を予告したか(2017年2月5日up)
アメリカの労働運動はトランプ政権にどう対応しているか(2017年4月18日up)
ドナルド・トランプ あなたをイギリスでは歓迎しない(2017年11月1日up)
イバンカ・トランプの「女性活躍」講演 米女性誌が批判(2017年11月4日up)
レポート トランプ政権 ガザ攻撃反対デモ参加者を逮捕・国外追放に(2025年4月13日up)
2期目のトランプ政権は政権発足時から矢継ぎ早に大統領令を発し、世界中を振り回している。イスラエルのガザ攻撃、パレスチナ住民に対するジェノサイドは国際的に非難されているが、昨年来アメリカの大学キャンパスでジェノサイドに抗議する抗議行動が広がった。トランプ政権はこの抗議行動に立ち上がった海外からの留学生を拘束し、正当なビザや在留資格を持っていても国外追放の動きを強めている。
これに対して、アメリカの憲法が保障する言論の自由、表現の自由を守ろうとする抵抗運動も広がっている。
ネタニアフ首相が米議会で演説 (2024年8月13日up)
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が7月24日、米議会上下両院の合同会議で演説した。パレスチナのガザ地区で、イスラエル軍の攻撃によって一般市民の犠牲が4万人に迫り、国連国際刑事裁判所(ICC)の検察官が、ネタニヤフ首相らイスラエル閣僚と、イスラム組織ハマスの指導者に、戦争犯罪容疑で逮捕状を請求しているなかでの、ネタニアフ招請に対して強い批判の声が上がった。
アメリカのインターネット配信ニュースの「デモクラシィ・ナウ」では、2023年10月7日以降のイスラエルによるパレスチナのガザ地域内する攻撃の状況を様々な視点で、現地からの訴えを含めて精力的に報じています。ここでは、同ニュースの配信記事から、国際的に批判を浴びているジェノサイド=市民に対する無差別攻撃を、イスラエルの防衛権の行使とうそぶく演説に対して、イスラエル市民からも強い批判が寄せられていることを紹介します。
イスラエルに住む人々の政権批判から明白になることは、①ネタニアフ政権はイスラエルの多数の市民を代表していないこと、②ガザ地域でのジェノサイドはこのネタニアフ政権が政権にしがみつくために強行されていること、③その結果としてイスラエルの市民もイスラエルの国の存続に不安をいだいていること、④イスラエルの一方的な建国、非ユダヤ教徒に対する人権抑圧・アパルトヘイト政策が長年にわたる紛争の根底にあること、⑤1948年のイスラエル建国以前のパレスチナはイスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒の三者が同じコミュニティの構成員として共存してきたことです。
レポート本文を開く ネタニアフ首相が米議会で演説 (2024年8月13日up)
首都圏青年ユニオンの3人が米レイバーノーツ大会を報告(2024年5月23日up)
アメリカの労働運動がストライキで積極的に闘って勝利するなど活発になり注目されています。アメリカの労働運動では機関紙「レイバーノーツ」を発行し、労働運動の活性化を支える団体レイバーノーツが大きな役割を果たし、活動家が来日して、全労連の集会でも講演し交流を深めています。レイバーノーツは2年に1度大会を開いていますが、今年4月に開かれた大会に全労連から38名が参加しました。その中で首都圏青年ユニオンから原田仁希さん、尾林哲矢さん、冨永華衣さんの3人が参加しています。5月1日の公務公共一般のメーデー当夜祭で、首都圏青年ユニオンの3人がレイバーノーツの大会の報告をおこないました。報告の中からアメリカの労働運動の盛り上がりを支えているエネルギー、運動の考え方が伝わってきました。
講演 日本の賃金はなぜ上がらないのか どうすれば上がるのか 呉 学殊 (2024年2月7日UP)
2024春闘に向かって金融労組は討論集会、中央委員会等を開催し要求の集約、確定の取組みを進めています。全損保は2023年11月23日、東京で賃金討論集会を開催。集会では「日本の賃金はなぜ上がらないのか、どうすれば上がるのか」と題し、労働政策研究・研修機構の呉学殊(オウ・ハクスウ)特任研究員から講演を受けました。
呉氏は、韓国から1991年に日本に留学し、労使関係、労使コミュニケーションを中心に研究し、来日当時は「日本は韓国より賃金が高く豊かな国だと思いましたが、この30年でそう思えなくなってしまった」と回想。バブル崩壊以降ほとんどの経済指標で他の国に追い抜かれ、賃金は1997年をピークに下がり続けているなどデータを使って説明。
日本の賃金はなぜ上がらないのか、どうすれば上がるのかを考えたいと提起し、賃金は労使交渉によってきまると確認。「賃金は労使対等性が確保される中で決定するもの」であり、その労使対等の原則が形骸化していることが賃金水準の低下を招いていると指摘しました。講演は詳しいデータを使って説明されました。資料を合わせてご参照ください。
講演を読む 講演 日本の賃金はなぜ上がらないのか どうすれば上がるのか 呉 学殊 (2024年2月7日UP) 講演資料を開く 講演「日本の賃金はなぜ上がらないのか、どうすれば上がるのか」資料
講演 アメリカの労働運動から学ぶ 布施恵輔 (2022年12月9日up)
国民春闘共闘委員会は10月19日に、23年春闘に向けて年次総会を開催。総会では、全労連事務局長の黒澤幸一さん、同事務局次長の布施恵輔さん(全労連国際局長)から、近年、大きくたたかいと組織化が広がっているアメリカの労働運動について報告を受けました。全労連は2012年からアメリカのレイバーノーツの大会に参加しています。今年のレイバーノーツの大会は今までで最高の盛り上がりだったと報告され、10月19日の春闘共闘の総会に参加した金融単産幹部にもその熱気が伝わり「非常に力づけられた」との感想が出されています。ここでは、「アメリカの労働運動から学ぶ」をテーマとした布施恵輔さんの報告を紹介します(金融・労働研究ネットワーク事務局)。
論文紹介 進む地域金融機関の再編 金融労連中島康隆委員長が雑誌「経済」に執筆 (2021年12月12日up)
地域金融機関の再編がすすめられ、地域経済にどのような影響をおよぼすか、地域金融機関はどのような役割を果たすべきかが問われています。金融労連の中島委員長は新日本出版社の雑誌「経済」2021年12月号に「進む地域金融機関の再編」を執筆。
中島委員長は、当金融・労働研究ネットワークの定例研究会に積極的に参加され、地域金融のあり方について、発言されてきました。本論文は中島委員長の金融労働者としての経験と視点をベースに、当研究ネットワークにおける地域金融再編をめぐる専門家の報告を生かし、まとめられたものです。
中島委員長は、コロナ禍の中で地域金融機関等が資金繰り支援を行うことで目先の倒産・廃業は減少しているが、同時に「過重債務」が今後の問題となると指摘。これに対しては、中小企業家同友会から伴走型の金融支援、資本性ローンなどより地域の中小企業に寄り添った支援が提起されています。同時に、新型コロナパンデミックの中で、新自由主義の見直しが提起されています。新自由主義の根本的な問題は全てを市場競争原理にゆだね民営化することで経済活動が最も効率的に行われるという神話に基づいていました。
この神話の虚構性が明らかとなり、グローバルに見直しが進められつつあります。医療や社会保障に象徴されますが、公的部門の充実が求められます。金融においても公的金融の見直しが求められます。当金融・労働研究ネットワークとしても公的金融の見直しを含めた金融のあり方を追求していく予定です。(金融・労働研究ネットワーク 田中均)
発言原稿 バイデン政権の税制改革 合田寛(2021年6月11日up)
6月7日に衆議院第2議員会館で開催された対話集会(公正な税制を求める市民連合主催)で、同市民連合の合田寛氏は「バイデン政権の税制改革」について報告した。合田氏はバイデン税制改革には4つの意義があると解説。まず第一に、その裏付けとなるしっかりとした財源が用意されている。しかもその財源は、国民全体に負担を押し付けるのではなく、そのすべてを、大企業に対する法人税の増税や、富裕者に対する増税でまかなう内容となっている。第二に、単にトランプ税制改革以前に巻き戻すにとどまらず、1980年代のレーガン、サッチャー改革以来の、税に関する考え方・思想を、根本的に転換するものとなっている。第三に、財源確保だけでなく、税制改正を通じて社会の不公平を正そうとしている。第四に、注目点として、世界的な法人税の引き下げ競争をやめ、法人税の最低税率を設定する国際協調の必要性を主張していると簡潔に指摘した。全文を読む 発言原稿 バイデン政権の税制改革 合田寛(2021年6月11日up)